絵本の読み聞かせの指南書。
前半は絵本がなぜ子どもにとって大切なのか、どのような絵本が子どもにとっていいのか、どのように読み聞かせるのがいいのか、という家庭での読み聞かせにもあてはまる絵本全般の話。
後半はグループへの読み聞かせにおいての読み聞かせ方・おすすめの本リスト。
読書メモ
- 絵本とは、感じる力を育ててくれる。
子どもが、絵本から受ける素朴な感動を、うんと大事にしてやってください。
これは、前に読んだ『こんにちは、昔話です』にもたしか書いてあったな。
-
- 昔話は残酷か
大人が大人の感性での感想を言ってはいけない。
子どもは子どもの感受性でお話を受け取っている。
そこに大人が「残酷だ」などと感想を言ってしまうと、そう思わないといけないと思ってしまう。
→子どもの感受性を守る!
「このお話からこういうことを読み取ってほしい・感じてほしい」
「このお話の主人公のように、強い心を持ってほしい・愛情を持ってほしい」
etc.
確かに、絵本を子どもに与えるにあたって、「いい本を選ぶからにはこうなって欲しいな〜こう思ってほしいな〜」っていう期待を込めてしまっている気がする。
いい本を選ぶようには努力するけど、それを読んで何を感じるか・その本を好む好まないは本人次第!
- 絵本の絵の大切さ
私たち大人が言葉を聞いて映像化してその様子を思い浮かべることができるのは、経験や知識があるから。
子どもは、挿絵などの助けが必要。
子どもにとって、絵本の絵が最初の知識になりがち。
記憶にもずっと残る。
だからこそ、正確で美しくあることが大切。
絵本の絵が、正確で美しいことがどんなに重要かわかるでしょう
- 精神の冒険
子どもはお話に経験=精神の冒険を求める。
そのためには主人公と一体化する必要がある。
文章は、子どもの心を主人公という乗り物に乗せて、遠くへ運ぶレールの役目。
客観的に目に見える(外側に見える)形で書く。
具体的に書く。
×その女の子は悲しい思いをしている。
◯その女の子は泣いている。
×絢爛豪華な部屋
◯壁も床も金でできている部屋
×森に強い虎がいました。
◯森の動物はみな、虎を見ると逃げ出しました。
「絵本たるもの会話体であるべき」な風潮があるけれど、会話体は主観的になってしまう。
×俺は強い虎だ。
- よい絵本の条件
- 絵本の絵で、お話のすじがたどれ、作中人物の気持ちがわかり、作品全体のムードが感じられること。
- 絵が、細部に至るまで、正確であること。
- 子供達に美的満足を与え、より質のよい美しさの世界へ子供をひき上げてくれるものであること。
子どもは、冒険話やとんでもないことがおこるお話が好き。
けれど、特に幼いうちは、「あたたかみ」と「安心感」を感じられる絵本を。
- 古典とされる絵本
長年子どもたちから愛され続けた絵本たち。
一冊でも二冊でもよい、これら古典と目される絵本を、子どもといっしょに、心をこめて読んでみましょう。すぐれた絵本は、それを読んでいる間わたしたちをたのしませてくれるだけでなく、知らずしらずのうちに、わたしたちのうちに、よいものをかぎわける能力を育ててくれるものです。
本の中では、おさるのジョージの他、以下があげられていた。
※カッコの中は原書の初版が出た年。
ちびくろさんぼ(1900年?)
ピーターラビット(1902年)
ペレのあたらしいふく(1910年?)
一〇〇まんびきのねこ(1928年)
ぞうのババール(1931年)
おかあさんだいすき(1932年)
はなのすきなうし(1936年)
いたずらきかんしゃちゅうちゅう(1937年)
シナの五にんきょうだい(1938年)
かもさんおとおり(1941年)
ちいさいおうち(1942年)
もりのなか(1944年)
ちなみに、とあげられていた日本の古い絵本。
きかんしゃやえもん(1959年)
ぐりとぐら(1963年)
見事にどれも読んだことがなかった。
ピーターラビットだけ、原画展に行った時にお土産で絵本を買って読んで、それだけかな?
しかし、ピーターラビットって120年以上前のものだったんだとびっくり。
何冊か読んでみた。
ちびくろさんぼ
可愛いお話だなと。
絶版になってしまった絵本としてどこかで聞いたことがあったけれど、改めて読んだのは初めて。
いたずらきかんしゃちゅうちゅう
絵はすごいいい。
けれど、お話はピンとこず。
"毎日重たい客車や貨車をひいて小さい町から大きい街へといったりきたり。1人で走りたい”という冒頭のちゅうちゅうの想いに大共感。
せっかく脱走したのに、結局、連れ戻されてまた重たい荷物を運ぶ日々-と読んでしまった。
働くことに疲れた社会人の心で読んでしまった……。
シナの五にんきょうだい
面白かった!
まさに絵本、というかまさに昔話、という感じの心地よさ。
かもさんおとおり
絵が! すごい!!
炭一色なのに、濃淡が豊かで美しい!
見開き一つずつ、めくる度にじっと見入ってしまった。
山や木や池の水面の表現が。
ボストンの街の風景が。
空から見下ろす建物が。
すごい。
そしてカモたちが写実的なのにコミック的でもあってすごく可愛い。
ところで、海外の絵本の絵の中に手書きの文字がある部分、日本語訳の本ではもちろん手書きの日本語に変えられているんだけれど、この手書きの文字は誰が書いているんだろう?
訳者の人?
ぐあっ ぐあっ ぐあっ ぐあっ ぐあっ ぐあっ ぐあっ げぇ〜
っていいよね。
ちいさいおうち
四季の移り変わりがきれいだなぁ。
ヒナギクの咲く丘。りんごの木。
素敵だなぁと思いつつ、ある程度の都会で生まれ育ち、なんでも揃う便利な現代社会を生きる自分は、こんなのどかでゆったりとした田園生活に引っ越したらどうなってしまうんだろう、なんて思ってしまった。
純粋な子どもの頃に読んでみたかったな。
もりのなか
最後、お父さんが呼びにきたところで「おぉっ」と思ってしまった。
こういう子供の空想を描いた本? ってなんかいいよね。